演劇・音楽・古典…劇作家、実村文が主宰する「シアターユニット・サラ」のサイトです.

アルデの軌跡 (the history of ARDE)


 ARDE(アルデ)はSALAの前身です。実村のオリジナル戯曲第一作『鳥の歌』の上演をめざして結成された、演劇ユニットでした。
 このページでは、2006年1月から2007年3月にいたるまでのアルデの軌跡をご紹介します。



『鳥の歌』
作:実村文
出演:飯原道代(俳優座)、荻貴義

第1回公演
2006年6月8日(木)−11日(日)
於:アール・コリン(東京(荻窪))
演出:伊藤大(青年座)
照明:宮野和夫
舞台監督:大野淳一郎
衣装:高木渚
演奏:矢原将宗(シアターモーメンツ)
宣伝美術・制作:平井美江

第2回公演 −能楽堂バージョン−
2007年3月10日(土)−11日(日)
於:金井能楽堂(新潟(佐渡))
主催:佐渡ロータリークラブ
共催:佐渡南ロータリークラブ
2007年3月17日(土)
於:梅若能楽学院会館(東京(東中野))
協力:財団法人梅若能楽学院会館
演出・舞台監督:大野淳一郎
音楽:佐藤圭一
布(舞台美術):大野靖
衣装:高木渚
宣伝美術:平井美江

☆作品紹介

 とある国の野鳥保護増殖センター。絶滅に瀕する希少種の鳥、キコニア・レウコロディア・アジアティカに対し、国家の威信をかけて、最後の人工繁殖の試みがなされている。
 現在生き残っているのは、わずかに雌雄一羽ずつ。
 幼鳥の頃からセンターで飼育され野性の記憶をなくしたモモ(メス・推定年齢13歳)の檻に、飢えて荒野をさまよっているところを捕獲されたばかりのハル(オス・推定年齢4歳)が入れられる。だが、ハルの体はすでに、汚染された山野で浴びた化学物質に冒されていた。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 二人芝居ならぬ二羽芝居。
 『鳥の歌』は、日本の野生個体として最後の雌雄となった二羽のトキ(キンとミドリ)をモデルとしています。
 ミドリが死に、キンが最後の一羽になったというニュースが報道されてから、モモとハルが立ちあがるまで、二十年の月日がたっていました。

 舞台から「環境保護」のメッセージを受けとった方も、「不妊治療」がテーマだと感じた方も、「戦争と性暴力」の比喩や、「マイノリティへの視線」への暗示を読みとった方もおられました。

 大切なものが、破壊されていく。そして、一度こわれたら、二度ともとには戻らない。
 観てくださる方ひとりひとり、それぞれの「大切なもの」に響く作品でありたい、という願いをこめて、『鳥の歌』は書かれました。

 おかげさまで、2006年6月の初演はご好評をいただき、佐渡ロータリークラブおよび佐渡南ロータリークラブからのご招聘を受けて、トキのふるさと佐渡の地、しかも能楽堂での再演が、トキ保護のためのチャリティ公演というかたちで、初演から1年足らずという異例の早さで実現することとなりました。

 能楽堂での上演は、ARDEにとって大きな挑戦でしたが、東京でのアンコール再演をもふくめ、多くの方々から暖かいご支援をいただいて、無事につとめることができました。今も感謝の気持ちでいっぱいです。
 今後も、この作品を、大切に育てていけたらと願っています。