演劇・音楽・古典…「シアターユニット・サラ」を主宰する劇作家、実村文のサイトです。

<真夜中の突撃 2008.8.6>


 北フランスのブルターニュに来ています。Tさんの言うとおり、ここは昔話の宝庫です!しかも悲しい話ばかりじゃなくて、まぬけでおかしい話も多いみたい。さっき本屋さんで買った小さな絵本に載ってた話。
「昔むかし、大きな石を積み上げた恐ろしい岩屋に、悪魔がすんでいました。岩屋からは時おり煙が立ちのぼり、魔王さまがソバ粉のクレープを焼いているのがわかるのでした。魔王さまはここで、悪い人たちの魂を買い取るための、ニセのコインを作ったりもしました。」(爆)

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 返信ありがとう!何かつながっている気がして興奮しています。
 夜寝る前に日本の民話の本を読んでいたら、「村」の外から来る鬼や異人が、恐怖と尊敬の両方を受けていた、とあって、そうだ!と思いました。勧善懲悪のファンタジーじゃなくて、ケルト民話が面白いのは、魔王がクレープを焼いたり死神が宴会にごちそうを食べに来たりして(笑)、怖いものが妙に身近で、強く、追い払えないからなのです。
 夢もそうだと思いました。忘れたいと思って追い払ったはずのものが帰ってくる。ルティさんの一昨年のワークショップ、私もきつかった。何度も泣きました。怖くて懐かしいものが帰ってきてしまったのです。
 誰が言ったのだったか、勇気とは、怖がらないことではなく、怖くてたまらないものに立ち向かうことだと。もし、芝居が、たえず「異」なるものとふれあう作業なら、芝居は勇気の行為そのものではないでしょうか?大変な体力と気力が要ると思います。暑い中、どうか体に気をつけて。またね!